広域行政事務組合視察復命書
コンポストセンターいなば〜鳥取県東部広域行政管理組合
○組合の概要
・1市4町(鳥取市、岩見町、智頭町、若桜町、八頭町)、人口25万人のエリア。
うち8割を鳥取市が占める。
・面積は1518平方キロ。鳥取県全域の43%を占めている。人口で41%。
・昭和40年設立からさまざまな経緯を経て、
平成6年、ふるさと市町村圏の選定を受け、広域活動計画がスタート、
平成9年、ホームページ「麒麟の王国」を開設。
・議員の構成は鳥取市14、旧町各1人×14町で28人の構成。18年11月には定
数構成を鳥取市22、旧町6と変更する予定。
・事務局は2課1室、21人。消防部門を合計すると320人。
・所管している施設は、
@し尿処理場 因幡浄苑、コンポストセンターいなば
A不燃物処理場 鳥取県東部環境クリーンセンター、リファーレンいなば、埋立処
分場、白兎グラウンドゴルフ場、ペットボトルリサイクルセンター
B火葬場 因幡霊場
C消防局、消防署所
・一般会計予算規模 (H17当初) 5,646,273千円
・他に「因幡ふるさと振興事業費特別会計」があり、これは10億円の出資金の果実で
運用されており、地域間交流、循環型都市づくり推進事業などを行っている。この事
業の中で広報「新因幡」を発行している。
○施設の概要
・し尿処理で発生する汚泥を発酵させて肥料にする施設。
・竣工平成11年、総事業費18億円。処理能力10.35t/日、製品量3t/日。
・運転は施工業者である住友重機械工業鰍ノ全面委託している。
・工程の説明
@汚泥受入貯蔵
水分75%の状態の汚泥を10tローリーで片道20分、1工程90分を一日3往
復。6箇所の中継基地から集約してくる。合併以前からの運搬業者のシェア割りを
尊重した結果、このような方式となった。
A乾燥
水分30%まで乾燥させる。
B汚泥との混合
発酵のために効率のよい60%になるように、もとの汚泥と再混合する。
C発酵
投入から4日めの作業。加熱せず、発酵熱だけで80度になる。これでタネ、細菌
は死滅する。(加熱施設もあるが、使用していない)3日間発酵。
臭気処理施設は硫酸をph2に設定、使用済み液体はバッキ処理して放流。
D造粒
6o×10oのペレット状。
E袋詰
15s詰め。
F「いなばコンポ」として農協が販売
・現在の稼動状況
設計は投入10tに対して製品3.4t/日、
現在は投入6tに対して製品2t弱。
毎週火、水曜の2日に袋詰め作業。2日で600袋。
・製品販売状況
粒状で匂いがしない。密閉型の施設として設計した。そのために20億円をかけてい
る。ここから計算すると原価は8,000円/袋となる。
畑でよく普及している。反面、山の果樹には未普及。理由は山への運搬には重いこと、
べちゃつくこと。
年間製造実績は26,000袋。全量JAへ引き渡す。単価70円+税/袋。
JAは原則的に240円+税/袋で販売。セール時は150〜160円程度で。
○感想
JR鳥取駅から西北へタクシーで約20分余り。日本海を望む白兎海岸が見えたとこ
ろで山間部への道に入り、上っていくと右手に広大な埋立処分用地が見え、その次には
埋立造成地を利用して作られた広々としたグラウンドゴルフ場とそのクラブハウスの建
物。雪に苦しめられた後、久々の上天気で、たくさんの人々がゲームに興じていました。
ここは全国でもグラウンドゴルフの発祥地とのことです。
クラブハウスのさらに奥に隣接して、コンポストセンターいなばがありました。
広域組合が行っている業務について、ビデオを見ながら学習し、そのあとこの施設に
ついての詳細な説明を受けました。続いてひととおり、施設の中を見学させていただき
ました。
場所は郊外の山間部であり、付近に住宅はありませんが、隣接するゴルフ場利用者に
も臭気は届かないように、重層的な設備が施されています。先述のように、コスト計算
をすると販売単価に到底見合わない設備投資であり、それからすると使用者の負担感に
配慮した価格設定であると思いますが、一般的な肥料の価格から考えると、少々高いも
のであるそうです。そこは、いわゆるエコ・サイクルを標榜する同地域の環境施策とし
ての考え方が生かされているのだと思います。
建設に当たっては、農水省、厚労省両方からの手厚い補助制度を活用したそうで、そ
こが、施設整備の最大のメリットであったとのことです。
われわれの中讃広域で作っているものは、安いかわりに臭気について難点があります。
もともとの設計思想のなせるところであり、いたし方ありませんが、時代とともにエコ
思想が普及し、資源循環の仕組みを行政が率先してアピールすることで、数値化できな
い効果があると思います。紹介ビデオもそのことを強調したつくりになっており、子供
たちにもよく理解できるものでありました。
また、経営的にも、運転を施工業者に引き続き委託していることが注目されます。
最後に、当鳥取県東部広域が発行している広報「新因幡」も資料としていただきまし
たが、その内容は環境問題を取り上げながら、域内各地の観光アピール、まちづくりビ
ジョンと多彩で、また広域組合の財政状況を公表する機能も持たせてあります。
併せて、組合のホームページについても非常に積極的に広域の観光、物産を訴えるも
のとして工夫されていて、今回、初めて広域議員として研修に参加させてもらって、地
元組合とは取組みがずいぶん違うものだと思いました。
われわれの中讃広域もこれまでの長い歴史があり、そこで各種業務を行ってきました
が、行政が広域組合という形でなすべきことは、角度を変えればまだまだ戦略的に考え